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神戸地方裁判所 昭和34年(わ)639号 判決 1963年3月29日

主文

被告人両名を各懲役二月に処する。

但しいずれもこの裁判確定の日から二年間右各刑の執行を猶予する。

訴訟費用中、証人後藤文美、同原田孝男、同彦阪儀兵衛に支給した分は被告人川口の負担とし、その余は証人山内勇の昭和三十六年七月二十六日及び同年九月六日の出頭に対して支給した分を除きすべて被告人両名の連帯負担とする。

理由

(被告人等の経歴及び本件発生に至る経過)

被告人小泉、同川口はいずれも日本国有鉄道(以下国鉄と略称する)の職員で、被告人小泉は昭和二十四年三月項から神戸市灘区灘北通四丁目所在国鉄東灘駅に、被告人川口は昭和二十六年六月頃以降前記東灘駅に夫々勤務しているもので、被告人両名共に同駅勤務の職員で組織している国鉄労働組合大阪地方本部神戸支部東灘運輸分会(以下東灘分会と略称する)に所属する国鉄労働組合員であり、昭和三十三年十月頃以降被告人小泉は右東灘分会分会長を、被告人川口は同分会書記長をしていたものであるところ、

東灘分会は昭和三十三年十一月五日、折から各種団体による警察官等職務執行法(以下警職法と略称する)の改正反対運動に呼応し、国鉄労働組合(以下国労と略称する)上部機関の指示のもとに、東灘駅を闘争拠点とした警職法改正反対を主目的とする統一行動の一環として勤務時間内職場集会を実施したが、同年十二月頃国鉄当局が右職場集会に参加した被告人両名を含む東灘分会員に対し減給ないし戒告の処分をしたため、その頃から右処分の撤回を求め、東灘駅舎屋内外に抗議のビラを貼り、或は時間外職場集会を開くなどして処分撤回闘争を活発に展開していたが、その後昭和三十四年三月十二、十三日の両日官公労の春季賃上げ闘争に和し、前記処分撤回の要求を織り入んだ所謂遵法闘争を行い、その結果東灘駅で貨物列車の発車が遅れる事態を生じたところ、国鉄当局は右遵法闘争の過程で東灘分会員の一部の者が管理者側の業務命令に服さなかつたとの理由で同分会員の内一名に対しては停職一ケ月、他の三名に対しては訓告の各処分をしたかような当局と分会との抗争状態の裡に右処分後の同月十九日東灘分会員の中から大量の分会脱退者を生ずるに及び、同分会は国鉄当局の右処分を不当な懲戒処分であるとし、又分会員の大量脱退は管理者側の悪質な組織切り崩しの策動によつて生じた不当労働行為の結果であるとして、その分会組織をあげて抗議運動を続けていた。

折柄同年三月二十一日東灘駅構内において、列車の制動管肘コツクを閉鎖して発車を妨げるという一見人為的と思われる妨害事故が発生し、その頃から鉄道公安員が多数同駅に配置され列車妨害事故の調査並びにこれが予防に当つたが、その後も同年四月中旬頃までの間列車の自動連結器の解錠、制動管の開管等を原因とした同種の妨害事故が十回位続出したため、国鉄当局の告発と相俟つて同年四月頃から所轄の兵庫県灘警察署が右列車妨害事件につき犯罪捜査を開始し、同署所属の警察官が東灘駅構内に出入りし、或は同駅職員を参考人として取調べをなすに至つたが、その頃警察の取調をうけた二、三の職員から、警察の調べは列車妨害事件に関係する調べに僅かの時間をあて、その大部分を当該職員の所属する東灘分会の組織、役員の動向等を主眼とした取調がなされた旨の報告があつて、東灘分会は警察の東灘駅職員を対象とする取調べに極度の不信を抱き、爾後東灘分会員に対する警察の呼出、取調べに一切応じないとの態度を打ち出したので、その後灘警察は引続き列車妨害事件につき東灘駅職員を参考人として取調べるため、従前職員の勤務場所に連絡して呼出しをしていたのを職員の家庭へ呼出状を届ける方法に切り換えるに至つたが、職員に対する警察の右呼出しが出頭を求められる職員のいずれも非番日に集中するうえ、その呼出状を警察官が直接職員の家庭に持参する方法をとり、更に一旦持参した呼出状について出頭時刻等の訂正のために再度職員宅を訪問するなどのことが重つたため、被告人等を含めた東灘分会員らは、東灘駅の管理者が職員の住所や勤務割りを警察に内報し、国鉄当局と警察が連携して警察の犯罪捜査の名のもとに東灘分会の組織を崩そうとしているものであると考え、同分会役員である被告人等が中心となつて同月中旬頃から数次に亘りその当時の東灘駅長小枝忠輝と職場交渉を重ねた結果、同月二十二日頃同駅長との間に、管理者側は警察の介入から職員を守る立場に立ち、職員の勤務割りを通報する等警察とグルになつたと疑われるような行動を避ける旨の約定を結ぶに至つたが、その後同年五月八、九日頃灘警察は約十人の同駅職員に対しその非番に該る日を指定した呼出状を警察官をして右職員の家庭に持参させた。

(罪となるべき事実)

被告人小泉、同川口は同年五月十日午前八時三十分頃、当日の出番者として国鉄東灘駅に出勤し、出番者を対象として午前八時五十分から開始される総合引継(俗称を点呼といい、以下これを点呼と呼称する)に出席するためその執行場所である同駅構内会議室に赴いたところ、被告人等と前後して同様点呼のため会議室に入室した東灘分会所属の同駅職員より、前日及び前々日にあたる五月八、九日頃にかけて、前記の如く同分会所属の職員十名位に対し灘警察が前記列車妨害事件の参考人として呼出しをしてきたこと、呼出しをうけた各職員は五月十一日から十三日迄の間における夫々の非番に該る日に出頭を求められていること、警察官が各職員の家庭へ持参した呼出状には記載内容に誤字を交えていること等の報告がなされたので、被告人等はその頃右会議室に入室していた二十数名の東灘分会所属の職員を交えてこれが対策を話し合つた結果、警察の呼出し日が対象職員の非番の日に集中している点からして管理者側が依然として警察に職員の勤務割りを通報しているものと考えざるを得ないとの結論に達し、又この点については既に小枝駅長との間に結んでいた前記約旨にも違反するものであるとの見地から、当日の点呼終了後右点呼場を利用して被告人両名が夫々東灘分会役員の立場において、当日が日曜日のため駅長の職務を代行する権限を有する当直助役阿江力に勤務割りの通報に関して問いただすことになつた。

国鉄東灘駅においては、当時日勤者及び一昼夜交代勤務の出番者に対する点呼の開始時刻は午前八時五十分と定められ、右点呼の執行責任者には同駅助役のうち一昼夜交代務勤の出番助役をもつてこれにあて、これを俗に当直助役と呼称し、その当直助役の職務は本来助役の職制上所属職員を指揮監督し同駅に属する一切の業務を掌理する駅長の職務を補佐し、駅長の不在中はその職務を代行し、又当直助役の立場からは前記の点呼執行事務の外運転輸送、作業計画分任出納、夜間駅務等の事務を担当していたものであるが、同年五月十日当日の点呼は同駅助役阿江力が当直助役として執行する運びとなり、同日午前八時五十分前記会議室において、阿江助役が被告人等を含む約三十名の同駅職員を対象に点呼を開始した。右点呼場には別紙図面記載のような形状で点呼執行者並びに被点呼者の各机が対面形式に配置され、当時被告人小泉は南側縦列筋の最前列左端に、被告人川口は同縦列筋の前列より三番目の左端に夫々着席していたが、阿江助役が駅報その他必要事項の伝達を終え、同日午前八時五十七分頃点呼の終了を告げ、次の職務である前勤の当直助役との運転関係金銭出納関係の事務引継をなすべく、立会の石井実男、松井政登の各助役と共に助役室へ赴くために右会議室を退出しようとしたところ、被告人川口が自席から立上り「質問がある、警察へ勤務割りを誰が知らせたか」と発言し、続いて被告人小泉も同様の質問を発し、被告人両名とも点呼執行者机の前面に進み出たが、阿江助役が被告人等の質問に答えないでその場から退出しかけたため、被告人両名は阿江助役より答弁を得るためには実力で同人の退出を阻止するもやむなしと互に暗黙裡に意思を通じて共謀の上、被告人小泉が前記点呼執行者机の南側附近で阿江助役の前に立塞がり、「責任者だから答える必要がある」等と申し向けて答弁を求め、退出しようとする阿江助役の前方から手や腕を使つて阿江助役の上半身を押し、南側の東出入口方向へ進行しようとする阿江助役との間に押し合いを続けながら阿江助役を点呼執行者机の北側附近まで押し戻し、一方被告人川口は点呼執行者机の西側附近で右点呼に立会した前記石井助役の前方に立ち、「質問に答えてくれ」と連呼し、「誰が知らせたか判らん」と答える石井助役との間に押し問答を重ねたが、石井助役が被告人川口の立ちはだかるのを振り切って右会議室の西出入口から退出したため、被告人川口はその頃右会議室内の東出入口附近で引続き阿江助役の前方に立塞つて手や腕で同人の体を押すなどして退出を阻止している被告人小泉のそばに至り、折柄前記石井助役が、阿江助役の退出を容易にするため東出入口の外側からその扉を開けようとするのを室内から扉を抑えて阻止し、更に被告人両名はその頃室内の東出入口附近に居合わせた東灘分会員株本健三との間に、引続き阿江助役の退出を実力で阻止することの意思を相通じ、右室内の東出入口附近で右株本が阿江助役の手を握つて退出をこばみ、被告人小泉も前同様阿江助役の前方に立塞がるなどして阿江助役の室内から退出することを阻止し、次いで阿江助役が被告人等の右阻止行為を振り切つて会議室の東出入口より室外に逃れ出るや、被告人川口が会議室南側の同駅構内北連絡線の線路上において阿江助役を背後から抱きとめ、これを振り切つて助役室へ赴こうとする阿江助役の前方に右株本が立塞つて手を掴むなどし、以て阿江助役の前記職務の執行を妨害すると共に、被告人等の右暴行により阿江助役に対し加療約十七日間を要する右上膊部打撲傷の傷害を負わせたものである。

(証拠の標目)(省略)

(適 条)

被告人等の判示所為中、公務執行妨害の点は刑法第九十五条第一項第六〇条に、傷害の点は同法第二百四条罰金等臨時措置法第二条第三条刑法第六〇条に夫々該当するところ、右公務執行妨害と傷害とは一個の行為にして数個の罪名に触れる関係にあるから、刑法第五十四条第一項前段第十条により重い傷害罪の刑に従い処断すべくいずれも所定刑中懲役刑を選択し、その所定刑期の範囲内において被告人両名を各懲役二月に処し、なお、被告人両名共に諸般の情状に鑑み刑の執行を猶予するを相当と認め、同法第二十五条第一項により被告人両名に対しこの裁判確定の日から二年間右各刑の執行を猶予することとし、訴訟費用は刑事訴訟法第八十一条第一項本文第百八十二条により主文第三項記載のとおり被告人等に負担させることとする。

(弁護人の主張に対する判断)

一、公務執行妨害について、

(一)弁護人は、検察官において、被告人等が阿江助役に暴行を加えたとする時間帯における同助役の行動は、点呼事務の執行を終えて会議室より助役室へ赴こうとしていたに止まるもので、その助役室へ赴く意図が前勤の当直助役から事務引継をうけるためであつたとしても、右引継事務は現場の運転関係者のそれに較べて引継時間等に融通性があるうえに、助役室に着いた後も暫くは雑談等に時間を費して休息した上事務引継ぎに着手しているのが日常勤務の実情であつて、右時間帯における阿江助役は現実に職務の執行中でなかつたのは勿論のこと、次の職務である事務引継との関係においても将に職務の執行に着手しようとしていた場合に該当しないから、被告人等の所為は公務執行妨害罪を構成しないと主張するが、前顕各証拠によれば、東灘駅においては、本件当時運転関係の職につく日勤者及び一昼夜交代勤務者の出番者全員に対し当日の作業に就く前に単位時分を午前八時五十分から十五分間と定めて点呼を実施し、出番の当直助役がその執行に当つていたものであるが、同助役は前記の点呼事務を執行した後引続き十五分間の所定引継単位時分内に前勤の当直助役から運転関係金銭出納関係等の事務を引継ぐためにその事務引継の場所である助役室に赴いて右事務の引継を受けることが勤務上義務づけられていて、右点呼執行事務と事務引継との間には休憩時間とか任意に他の事務を選択してこれに従事するとかの余地は設けられていないことが認められ、このように点呼執行事務と事務引継とは制度的に連続した一連の事務として当直助役にあてがわれているのものであり、従つて当該当直助役が点呼事務の執行終了後一時休息をとるなど執務の意思を放棄したと見うる特段の事由のない限りは、右点呼事務の執行を終えて該場所から事務引継のためその引継の行なわれる場所へ赴くこと自体職務行為といわなければならず、点呼事務と引継事務との間に前者の事務終了によつて一旦職務の執行から離脱したものということはできない。

而して、既に罪となるべき事実において認めた如く、阿江助役は当日午前八時五十七分頃点呼事務の執行を終え、引続き次の職務とされている前勤の当直助役より運転関係金銭出納関係等の事務の引継を受けるため、点呼場として使用されていた会議室から右事務引継の場所である助役室へ赴くべく会議室を退出しようとしたところを、被告人等の実力行使(暴行)によつて阻止されたものであるから、このような被告人等の所為は前判の説示に照らし職務執行中の阿江助役に対する暴行といえるから弁護人の主張は理由がないものといわねばならない。

(二)又弁護人は報告人等及び株本健三が阿江助役の点呼場退去或は助役室進行を阻止した際における同助役の勤務関係上の地位が将に職務の執行に着手せんとした場合に該当すると仮定しても、被告人等に公務執行妨害罪が成立するためには、被告人等に阿江助役が当に着手しようとする職務の執行を妨害する意思とその妨害行為によつて阿江助役が執行しようとした職務が現実に妨害されたことを必要とするところ、被告人等には右のような妨害意思がなく、又、妨害の結果も発生していないから公務執行妨害罪は成立する余地がない旨主張するが、被告人等の妨害行為は前判認定のとおり現に職務行為中の阿江助役に対する所為であるから、これと異なる前提に立つ弁護人の所論はその内容の当否につき検討するまでもなく理由がない。

二、正当行為の主張について

(一)弁護人は、本件点呼場の内外において被告人等が阿江助役に対しとつた行動は法律秩序全体の精神及び理念に照らし違法性を欠く所謂正当行為であると主張し、その理由を次のように述べる。即ち、

東灘分会は被告人等が分会役員に就任した後の昭和三十三年十一月五日警職法改正反対運動の一環として勤務時間内の職場集会を実施したが、これに対し国鉄当局は集会に参加した分会員に対し異例の強い行政処分をなし、更に昭和三十四年三月十二、十三日に亘り東灘分会の行つた前記処分撤回要求を織り込んだ春季闘争に対しても、同当局は闘争に参加した分会員数名に停職処分を含む強い行政処分を行い、次いで同月十九日頃に至ると当局の分裂工作により分会員の大量脱退を見る等、国鉄当局が東灘分会の団結侵害につながる不当労働行為を繰り返したため、同分会において当局のこれら一連の不当な行為に対し強い抗議運動を展開し始めていた矢先、同月二十一日東灘駅構内において制動管肘コツクを閉鎖して列車の発車を妨げるという人為的な列車妨害事故が発生し、その後も同年四月中旬頃に至る迄の間に十数件の同種の妨害事故が続出したが、国鉄当局は自ら十分な事故原因の調査をしないで、徒らに鉄道公安員を多数構内に引き入れて分会員の行動を監視させる一方警察に告発して分会に対する警察権力の介入を招来した上、職員の住所勤務割り等を警察に通報したため、国鉄当局と結託した警察は右列車妨害事件の犯罪捜査という名のもとに東灘分会所属の職員に呼出しをかけ、出頭に応じた二、三の職員に対しては、列車妨害事件の取調べを殆んどしないで東灘分会の活動、役員の動静等組合の内情についてスパイ的取調べをなし、又呼出しの方法も多数の職員に対し非番の日に集中した呼出をかけ、かつ、その呼出状には計画的と思われる誤字等を作つておきその訂正という口実のもとに何回も職員の家庭を訪問するなど、職員並びにその家族に心理的圧迫を加えて団結にひびを入れるが如き所為を続けたため、東灘分会は分会所属の職員を対象とする右の如き不当な取調方法につき警察当局に対し抗議すると共に、駅長に対しても職員の住所や勤務割りを警察へ知らせないよう申し入れ、駅長との間に、管理者側は警察の介入から職員を守る立場にたち勤務割り等を警察に通報しない旨の約定を取り交わしたが、その後も同年五月八、九日頃に至る迄管理者側の勤務割り通報の結果とられたと疑われる警察の呼出しが職員の家庭に警察官の個別訪問の形でなされたのであるが、これら一連の国鉄当局及び警察の行動は、結局当局と警察が連携して列車妨害事件の犯罪捜査に名を藉り東灘分会ないし分会員に対し執拗な団結侵害を加えたものであることが明らかである。

而して、被告人等が本件点呼場で阿江助役に質問しようとした直接の目的は、前記駅長交渉によつて管理者側が警察の介入から職員を守る立場に立ち警察に対し勤務割りの通報等をしない旨約束していたにも拘らず、職員の非番日を的確に把握した警察の呼出状が依然として職員の家庭に届けられる事実が止まないため、東灘分会役員である被告人等において管理者側の阿江助役に対し、従前駅長との間に結ばれた前記対警察非協力約定につきその違反事実があるか否かを確め、違反のある場合は違反者の責任を追及すると共に、違反行為の内容を糾明して勤務割りの通報されている分会員を把握し、その対策を講じようとすることにあつて、窮極においては前記の如く警察が列車妨害事件の捜査に名を藉りて、個々の分会員を対象に不当な心理的圧迫を加えて組合の団結を破壊する不当な行為に出たことにつき、当局側が警察と結托して職員の勤務割り通報という形で右団結侵害行為に便宜を供与していることに対し、分会の組織防衛ないし団結権擁護の見地から勤務割り通報の実体を闡明せんがために問いただそうとしたものであり、又従来点呼場においては、業務伝達の終つた後引続き分会の立場から分会役員らが管理者側に労働条件に関し質問、要求、抗議等をなし、管理者側もこれに対し応答していた点呼の実情からみても、本件勤務割りの問題について右点呼の場で被告人等が「誰が警察に知らせたか」と質問することは本来慣行的に許された発問であって管理者側は当然これに対し回答すべき筋合いのものであり、況や本件質問は既に駅長との間に結ばれた前記約定に違反する疑いの濃厚な事柄についてのものであるから、管理者側は自ら結んだ約定に違反しているか否かにつき当然これを明らかにすべき義務があるのに、管理者側の代表である阿江助役は右の質問に何ら答えようとせず点呼場から退出しようとしたためその回答を得たい一念から阿江助役の退出をこばんだものであり、その阻止行為も退出しようとする阿江助役の前面に立塞つた程度で両者の間に多少体の触れ合うことがあつたにしても実力による阻止行為にしては極めて軽微なものであり、加えて被告人等は、当時多数の分会員を対象とした呼出期日の切迫した警察の呼出し行為に対し、該点呼の場でこのことを明らかにし併せて右呼出行為につながる当局側の勤務割り通報の事実の実体を糾明し、点呼後出番者との交替によつて職場を引きあげる非番の職員にもその内容を知らせたうえ、このような団結侵害行為に対する防衛対策を直ちに講ずるためには、本件点呼の場をお て他に適切な機会がなかつたものであるからして、被告人等が前記目的のためにとつた手段方法は真に緊急已むを得ない最少限の行為として相当なものというべく、又被告人等の阻止行為によつて侵害された法益は、極めて僅かな時間阿江助役の行動の自由を拘束したことにより当直助役の事務引継がその間遅れた程度に止まる反面、被告人等が防衛しようとする法益は労働基本権に属する団結権を保全擁護しようとするにあるもので、両者を比較した場合、後者の法益が遙かに優越するものであつて、結局被告人等の本件所為はその目的、手段方法、緊急性法益の均衡のいずれの点からみても実質的違法性を欠く正当な行為である、というにある。

(二)よつて、被告人等の本件所為につき違法性阻却事由があるかどうかについて検討するに

(1)目的の正当性について

国鉄東灘駅構内において、昭和三十四年三月二十一日、列車の制動管肘コツクを閉鎖して発車を妨げるという一見人為的な妨害事故が発生し、その頃多数の鉄道公安員が同駅に配置され妨害事故の調査並びに予防に当つたが、その後も同年四月中旬頃迄の間に列車の自動連結器の解錠、制動管の開管等を原因とした同種の妨害事故が十回位に亘り続発したため、同年四月頃から国鉄当局の告発と相俟つて所轄の灘警察が右列車妨害事件について犯罪の捜査を開始し、所属警察官が東灘駅の構内に出入りし、或は同駅職員を参考人として取調べることを始めたがその頃取調べをうけた職員からその所属する東灘分会に対し、警察の取調内容が列車妨害事件に直接関係する事柄は僅少で、大部分は東灘分会の組織、役員の行動傾向等組合の内情に焦点を向けたものであつた旨の報告があつたため、同分会は警察の分会員に対する取調べに極度の警戒心を抱き、爾後警察の参考人としての呼出しには応じない態度を打ち出したので、警察はそれ迄職場宛に届けていた呼出方法を切換え、東灘駅の管理者側から職員の住所録の提供をうけ、或は職員の勤務割りの通報をうけるなどして、職員の非番日を呼出日と指定した呼出状を各職員の家庭へ直接警察官が持参する方法で、引続き参考人としての呼出しを続けたが、警察が右のように呼出状送達のため警察官を直接職員の家庭へ訪問させたり更に又一旦届けられた呼出状についてその出頭時刻等の訂正変更のため再度警察官が同一職員の家庭を訪問することなどがあつたことから、東灘分会は益々警察の右呼出し方法に疑惑を深め、右は分会員やその家庭を困惑させ、延いて同分会の団結にひびを入れることを企図した不当な所為であると考え、その旨の抗議をするに共に、同年四月下旬頃、東灘駅長と職場交渉をもち、同駅長との間に管理者側は警察の介入から職員を守る立場に立ち職員の勤務割りを通報するなどの所為を避ける旨の約定を取るに至つたが、その后同年五月八、九日頃、またも警察から十名位の分会所属の職員に対しその非番日を出頭すべき日と定めた呼出状が警察官の手によつて直接職員の各家庭に持参されたため、同月十日の本件当日、東灘分会役員である被告人両名が、右警察の呼出につながる管理者側の勤務割り通報の事実につき糾明しようとした過程で本件事件が惹起されたものであることは、さきに判示したとおりである。そこで右にみた警察の分会員を対象とした捜査活動が弁護人の主張するように東灘分会ないし分会員の団結権を侵害する行為といえるかどうかの点について考えてみるに、証人野々村忠夫の供述記載及び被告人両名の供述から窺われるように、警察の呼出しに応じて出頭した二、三名の分会員に対し、警察が列車妨害事件に関係する調べを僅かしかしないで取調時間の大半を東灘分会の組織、役員の行動、傾向等組合の内情に焦点を向けた取調べをした事実が仮りにあつたとしても、前示のように管理者側と労組側との激しい対立状況下にあつた東灘駅の構内で頻発した列車妨害事故の捜査を担当した警察官において、その事件の性格等に徴し、初期の段階において、種々の観点角度から捜査を進める方針のもとに右のような点に亘る取調をしたからといつて、これを目して直ちに被告人等や弁護人の主張するように組合の団結破壊を策したものと即断することは相当でないばかりでなく、右のような取調べにつき管理者側が警察と結託した事実を認めるに足る措信に価いする証拠はなく、又取調日を分会員の非番日に集中した警察の呼出状が警察官により分会員の家庭へ直接持参せられた点についても、前段記載のように東灘分会が警察の取調べに応じない態度を打ち出したことから、従前分会員の職場へ届けていた呼出状をその確実な到達を期するため家庭へ届ける方法をとるに至つたものと想察するに難くなく、分会員の非番の日に出頭を求めたことも、公企業である国鉄業務の運営にできるだけ支障を及ぼさないことに併せて、呼出をかけた対象者の出頭拒否の事由を塞ぎ、その出頭を確保しようとの配慮によるものと見られないことはなく、むしろかように見ることが捜査担当者の意思として自然であり、更に、右呼出状記載の出頭時刻の訂正のため再度警察官が分会員宅を訪問したこともその時々における取調べ担当者や取調べの事務量等の都合で真にやむを得ず予定された出頭時刻を変更することの起りうることもありえないことではないのであつて、これら警察の分会員を対象とする一連の捜査活動を以て直ちに東灘分会に対する不当な団結権侵害行為と認定することは本件の証拠上困難であり、殊にこのような捜査活動につき管理者側が東灘分会の団結破壊の意図をもつて結托加担した事実を認めるに足る的確な証拠はない。又、前記列車妨害事故が東灘分会に対する警察権力の介入を誘導する陰謀のもとに国鉄当局ないしその指図をうけた者によつて故意に惹起されたと認めるに足る証拠は皆無であつて、国鉄当局が右列車妨害事件を利用し警察と連携して東灘分会に対する団結破壊を企てたとする所論については、国鉄当局が警察の捜査活動に関与した事実として列車妨害事件についての告発と、その后警察の照会に答えて東灘駅所属職員の住所、勤務割りを通報したことが認められるが、右告発は東灘駅において前記の如く一見人為的と思われる列車妨害事故が引き続いて発生しながらその原因も容疑者の有無等も管理者側としては明らかにすることが困難なため、その立場上なしたものであることが想察せられなくはなくこの告発行為をとらえて直ちに警察の東灘分会に対する介入を容易にするための意図からなされたものと断じ得る的確な証拠はなく、又職員の住所、勤務割りを警察に通報した事実についても、警察から犯罪捜査上の必要を理由として照会を寄せられた以上、事柄が公務所の秘密に属する等正当な理由のない限りこれに応ずる義務があるのであるから、所属職員の住所、勤務割り等の照会をうけた東灘駅当局が、これらにつき警察に同答したことは至極当然の所為であつて、そのため警察の計画的能率的な取調べに利便を供する結果となつたとしても、管理者の右所為を以て不当な行為ということはできず、他に右所為が東灘分会の団結侵害を意図した加担行為と認めるに足る証拠はない。

更に、本件の発生を機に警察の前記列車妨害事件捜査のための分会員に対する呼出しが終そくした事実は、被告人川口の供述によつてこれを認めうることができるが、前顕各証拠によれば、右列車妨害事故については国鉄当局及び警察の捜査によつてもその原因行為者を、容易につきとめることができず、管理者側も適切な捜査の資料を提供しえない状況にあつたうえに、駅構内で発生した右事故について比較的捜査上参考となるべき知識をもつているのであろうと思われる同駅職員は組合の決定に基き任意出頭に応じない態度に出たため、本件当時右列車妨害事件の捜査は行き詰まりの状況にあつたものの如く窺われるのであつて、警察がかような時機に発生を見た本件に捜査活動の対象を切り換えたとしても、警察の捜査能力とも関連することがらであるから、右事実に依拠して直ちに前の列車妨害事故に関する捜査活動が東灘分会の弾圧を目的とした不当な行動ということはできず、かように認めるに足る証拠はない。

叙上説明したところから明らかな如く、本件の直接の動機をなすところの警察に対する勤務割り通報に関する事実の糾明を目的とした被告人らの質問が被告人等の主観において団結権侵害に対する防衛の目的に出でたものであつたとしても、公正に判断して国鉄当局側に団結権侵害と目するに足る行為のあつたことを肯定できない本件にあつては、その存在を前提とする被告人等の正当性の主張は失当であるが、然し乍ら被告人等としては既に見た如き列車妨害事件発生後の警察の一連の行動並びにその捜査方法等からして、警察権力が分会の団結に介入するものと臆測したことは無理からぬものがある(弁護人の主張する如き警察の犯罪捜査活動により東灘分会がその団結上若干の不利益を感受したことは首肯できるところであるが、かような警察の犯罪捜査活動は公共の福祉のためのものであるから、これによる反射的不利益は分会として受認するのほかはないものであるのみならず、管理者側が警察の捜査活動に結托加担した事実を肯認できないことは前示のとおりである)一方前記職場交渉によつて結んだ対警察不協力約定の法的性格等はともかく、管理者側としては、一旦取り結んだ右約定につき分会役員である被告人等から合理的な疑いのもとにこれに違反して勤務割りを通報した事実の有無等について釈明を求められた場合、その時と場所との相当である限りこれに回答をなす条理上の義務があるものというべく、従つて被告人らが駅長職務代行者である阿江助役に右趣旨の質問をしたこと自体は、その時と場所との相当性具有の点を除き正当なものといわねばならない。

(2)手段の相当性について

被告人両名が本件勤務割り通報の問題で阿江助役に質問を試みた場所は、既に罪となるべき事実中に認定したように、当日の出番者を対象に行なわれた点呼場であり又、その時機は点呼執行の終了直後該点呼の場を利用してなされたものである点から、先づかかる場を利用して分会役員の立場で管理者側に対しかかる事項につき質問を試み更に進んでその問題につき交渉をもつことが許容されるものであるかどうかについて考察するに証人阿江力(第一〇、一一回)同松井政登(第一四回)同石井実男(第一五、一六、一七回)同白井正行(第一八回)同谷口寿太郎(第二三回)同羽柴経治(第二二回)の各供述記載、証人阿江力、同松井政登、同多田〓秋、同山口栄太郎の各供述によれば、東灘駅においては当時朝の出番者に対する点呼は午前八時五十分から開始され、当直助役が右点呼を執行し、点呼終了後は直ちに各自の職場において前勤者と事務引継を行い当日の勤務に就く制度になつているが、右点呼終了後被点呼者の未だ解散しない前その場を利用して往々東灘分会役員若くは国労上級機関の役員が分会員である右被点呼者に対し組合関係の事柄について報告することが行なわれていたこと、この場合は予め職員の服務関係を掌握する管理側の承認を得又は点呼の終了直後その場で同様の承認を得ていたものであること、承認を求められた管理者側は出番の職員が点呼終了後直ちに前勤者との事務引継ぎに移るべき時間帯にあるため、その使用する時間や次の職務である引継事務等を考慮した上でその許否を決定する建前でありながら、実情は承認を求められると殆んど許容していたこと、又点呼終了後点呼の場を利用して分会員或は分会役員が管理者側である駅長助役等に対し昇給昇格等職員の処遇問題や作業配置等に関する事柄につき質問、要求、抗議などをなした事例もあり、それらの中には管理者側の指示伝達した事項に関連のないものもあつたようであるが、このような場合事柄の如何によつては管理者側がその場で任意応答し、或は後刻に回答を保留してその場を切りあげる方法がとられていたことが認められるところ、本来点呼の性格は当日の勤務に入つた職員に対し勤務上必要な事項を指示伝達することにあつて、固よりかかる点呼を受けること自体服務の一態様に属し、点呼終了後は引き続いて各自の勤務場所に赴き前勤者より引続ぎを受けて服務すべき義務下にあるものであることが認められるから、右にみた分会役員或は分会員が点呼の場を利用して管理者側に質問等をすることは管理者側の容認のない限り正当になし得ないものであることは自明のことであつて、管理者側が右質問等を容認するか否かは管理者側が点呼に続く引継事務の都合或はその場で質問に応ずることの適否その他諸般の事情を勘案し、その責任において自由に決すべきことがらであり、管理者側が質問等に応ずる場合は格別、然らざる場合被点呼者側においてこれを強いることはできないものであることは言を俟たないところであつて、これを本件について考察するに、前記罪となるべき事実中に示した如く、被告人等は本件当日阿江助役が当直助役として午前八時五十分から点呼を執行し、同八時五十七分頃点呼終了を告げて、直ちに前勤の当直助役との間の事務引継を行うため点呼場を退出しようとした際、「勤務割りを警察に誰が知らせたか」と発問したのであるが、阿江助役においてはその場における右質問を許容する意思がなく、これに答えずそのまま退出しようとしたにも拘らず被告人等は実力で同助役の退出を阻止したものであつて、被告人等において右点呼の場で勤務割りの通報に関し質問をすることにつき事前若くはその場で管理者側の承認を得た事実は証拠上何ら認めることができず、その上阿江助役が被告人等の質問に応ずる意思をもつていないことも阿江助役の前記行動自体から明らかに看取されたところであるから、被告人等としては質問に答えないで退出しようとする阿江助役に対し、それ以上その場で答弁を強いることはできない筋合いであり、このことは前記目的の正当性に関し説示した如く、管理者側に勤務割り通報に関する質問に対しては答える義務がある点を考慮に入れても、前示点呼の性格及び質問のなされた当時阿江助役が次の事務引継に移行しようとしていた事情にあつたことを合わせ考えると、同助役がその場で質問に答えなかつたからとてこれを目して直ちに不当な措置に出たものということはできない。

而して、被告人等が質問に答えないで点呼場から退出しようとする阿江助役の前面に立塞がり、執拗に質問に対する回答を要求し、尚も退出しようとする阿江助役を手や腕を使つて押し戻し、或は阿江助役に抱きつくなどして、阿江助役が助役室へ赴くことを阻止しその結果同助役に対し前示のとおりの傷害を与えたことは既に認定した通りであり、又証人阿江力の供述記載(第一〇、一一回公判)によれば、被告人等の右実力行使によつて右点呼場から助役室へ赴くのを約十二、三分間に亘り阻止されたことが認められるのであるから、仮令被告人等の阿江助役に対する質問が前示のように正当な目的のためで又分会役員の立場でなされた所謂職場交渉に類する性格をもつものであつたとしても、そのなされた有形力行使の方法程度等は前記質問目的のための手段としては行き過ぎた行為であり、相当性を備えたものと評価することができない。

(3) 緊急性について

被告人等が阿江助役に勤務割りの通報に関し質問をなした本件当日(昭和三十四年五月十日)の前日ないし前々日頃、約十名の東灘分会所属の職員に対し五月十一日から十三日迄の間における各自の非番日を呼出日と指定した警察の呼出状が当該職員の家庭に届けられたことは既に認めた通りであるところ、弁護人はかかる呼出期日の切迫した呼出状に接し、警察の不当な右呼出行為につながる国鉄当局の職員の勤務割り通報について、その実体を糾明しこれが対策を講ずるためには本件点呼の場をおいて他に適切な機会がなかつたというのであるが、その主張によれば右勤務割りの警察に対する通報は既に行なわれた後の事に属し、かつこれに基く呼出状も既に当該分会員に届けられた後の事であるからかかる過去の行為に属する事柄に対しては、前示約定の違反責任を追及し、或は将来同様の所為を防止するためその事実の有無を明らかにする必要性はあるにしても、その緊急性は本件点呼の場を逸することを許さないほどのものではなく又当日の事務引継後職場を引き上げる前勤者に対しても勤務割り通報に関する実体及びこれが対策を了知せしめる必要があつたとしても、証人阿江力(第一〇、一一回公判)の供述記載及び司法警察員作成の検証調書によれば、点呼場に使用された会議室と助役室とは四十余米の近距離にあつて通常一分弱の時間で往来できる場所的状況にあるうえ、阿江助役は当日の出番者として終日勤務に就くべき地位にあつたものであるから、右点呼終了直後の機会をのがした場合同助役と質疑交渉する機会が失われるものでもなく、阿江助役が点呼場で質問に応ぜず退出したとしても、同人が当直助役として職務を執る助役室において改めて交渉のうえ将来の対策を講ずることは十分可能もあつて(事実阿江助役が点呼場から被告人らの阻止行為を逃れて助役室に赴いた後被告人等も助役室に移動し、阿江助役と同様管理者側に立つ石井助役に対して前記勤務割りの通報に関し抗議しているのである―証人石井実男(第一五、一六、一七回公判)同井上達司(第二四回公判)の各供述記載を参照)、右の点呼場で質問に応じないからといつて直ちにその場からの退去を実力で阻止しなければならないほどの緊急性があつたものとは到底認め難いところである。しかも前示の如く東灘分会においては当時既に警察の任意出頭の要求には応じない態度を決定していたものであるから、呼出を受けた分会員においてはこれに応じて出頭するおそれは考えられない状況にあつたことを考えるといよいよ弁護人主張のような緊急性はなかつたものといわねばならない。

(4)法益の均衡について

警察の東灘分会員に対する呼出行為並びに国鉄当局の警察に対する職員の勤務割り通報行為を東灘分会ないし分会員に対する不当な団結権侵害行為と認め得ないことは既に説示したところであるから、これが団結権侵害行為の存在を前提とする弁護人の法益比較論はその余の説示を俟つまでもなく失当であることが明らかであるから採用できない。

以上述べたところから明らかなように、被告人等の本件所為はその目的の正当性は是認できるものの、その目的のためにとられた手段方法はそのような手段に出ることの緊急性に欠けていることも相俟つて相当なものということはできず、結局において、法律秩序全体の精神に照らし是認される行為ということはできず、所謂正当行為として違法性を阻却すべきものに該らないから、弁護人の主張は理由がない。

よつて主文のとおり判決する。

<省略>

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